被災地で進む新しい挑戦や地域の魅力を特集記事で紹介します。

「そもそもこの事業は、車の貸し出し自体ではなく、支え合う地域づくりを応援することだ。」代表の吉澤さんは、そう強調する。地域グループで車をシェアする仕組みをつくり、それを「コミュニティ・カーシェアリング」と名づけたのは、そうした思いからだ。

東北のほとんどの地域では、日常生活の中で車は欠かせない移動手段だ。各家庭に1台あるのは当然のこと、家族それぞれが自分の車を持っていることも多い。東日本大震災で大きな被害を受けた際、一切の家財道具を失った人が最初に買い戻したいと思ったものの1つが車だった。

毎年300人ほどが参加する◯◯会議だが、それでもまだ学生や女性の参加率に物足りなさを感じていた。また、毎年4回ほど開催していた会議に「途中からだと参加しづらい」といった意見があることもわかってきた。

「◯◯」には、参加者一人ひとりの「釜石で◯◯をやってみたい」という願望や思いを当てはめる。そんな意味を込めた。会議では参加者それぞれが釜石で実現させたいことを発表し合い、それに共感した人たちでチームを結成。

2014年4月に立ち上げた「訪問看護ステーションなごみ」。「つくる会」の主な収益を担っているのが、この訪問看護事業だ。訪問看護に携わる看護師や作業療法士など専門知識・技能を持つスタッフは、「深刻な精神科医療の問題を抱えた地元の住民の役に立ちたい」という志をもって活動に従事している。

震災と原発事故から7年半が過ぎ、かつて避難指示が発令された福島県沿岸部の地域の中には、避難指示が解除され、徐々に住民の帰還が進んでいる場所もある。だが、仮に故郷に戻れても生活再建への道のりは多難だ。

観光体験プログラム「ちょいのぞき気仙沼」が現在、直面している課題。その1つは、視察などを目的に参加する団体客に比べ、個人客の動員に苦戦していることだ。2017年度の個人客は全体(約3,000人)の1/3ほどにとどまった。

漁に使う巨大なロープや金具、タコを捕まえるカゴ。約8mの高さまで積み上げられた、魚を入れる発泡スチロール製の魚箱。重さ100Kgを超える四角い氷の塊。見たことのない光景に、子どもたちが目を丸くする。

コミュニティの再構築などを目的に始めた、オーガニックコットンの栽培と収穫。通称、「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」。吉田さん率いるザ・ピープルが直面した課題の1つは、国内での原綿の卸価格が想定外に低いことだった。

太陽の光が差すコットン農園に、言葉を交わしながら農作業する人たちの笑い声があふれる。優しい茶色を帯びたコットンは、「備中茶綿」という珍しい日本在来種だ。NPO法人ザ・ピープル(いわき市)は、いわき市内の農家や有志に呼びかけ、2012年4月から有機農法でのコットン栽培を始めた。環境に配慮した方法でのコットンの栽培を通して、人々の交流の場をつくることを目的にした取り組みだ。