震災後の全町避難が続く福島県双葉町で江戸時代から続く「ダルマ市」。町民有志の会「夢ふたば人(びと)」は、地域で大切にされている冬の伝統的な祭りを避難先の一ついわき市で途切れることなく開催している。町民に夢と希望を与え、元気な姿を全国の避難者にも届けたい——。若きメンバーの思いと行動力が、「新しい東北」復興・創生顕彰受賞に結びついた。

岩手県大槌町で震災後、町民目線による情報発信の必要性を痛感し、「町民による、町民のための新聞」をコンセプトに大槌新聞を立ち上げた菊池由貴子さん。町役場や議会をはじめ、町内を精力的に取材し、分かりやすい記事で問題提起を続け、地元のマスメディアとして認知された。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞について、「これまでの活動が理解されてうれしい」と菊池さんは喜びを語った。

宮城県山元町で、被災した地域の復興と創生を願い、「誰もが素敵に生きてはたらける地域づくり」を障害者らと共に取り組む特定非営利活動法人ポラリス。「心のケア」「障害者支援」「地域コミュニティ創造」の活動を通して、NPO活動への理解と連携する仲間を集めている。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞によって、これまでの草の根活動が認められた証になったと関係者は喜んでいる。

宮城県気仙沼市の北東部にある唐桑半島では、震災後に全国から女性たちが移住し、それぞれが生業を持ちながら生活している。彼女たちは、「ペンターン女子」を名乗り、唐桑半島での生活をブログやインスタグラムで発信。住民との交流や行事への参加などを通して、地域の魅力を全国に届けている。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞は、地域住民にとっても喜ばしい報告となり、彼女たちとのさらなる絆の深まりに寄与したという。

福島県郡山市を拠点に活動する非営利活動法人「しんせい」では、震災によって故郷に帰ることが難しく、避難生活を続けている障害者に働く場所を提供し、避難先で安心して住み続けられるような支援を展開している。「新しい東北」復興・創生顕彰は、しんせいと連携・協働する多くの企業、NPO、福祉事業所、そして障害者とその家族にとっても誇りにつながったという。

岩手県大船渡市で地域の高齢者の誰もが役割をもって生き生きと暮らせる拠点「居場所ハウス」を運営する特定非営利活動法人 居場所創造プロジェクト。高齢者の特技を生かした教室や、農園、食堂の運営など、様々な活動を実施している。震災後に誕生した地域住民の「居場所」は、「新しい東北」復興・創生顕彰を機にさらに地域へ認知され、新たな多世代交流を生み出している。

福島第一原子力発電所の事故の影響による風評被害に直面する福島県内の農業者らが助け合い、農業体験活動やオンラインショップの運営などを通して全国の消費者との交流を図っている特定非営利活動法人 がんばろう福島 農業者等の会(以下、「がんばろう福島」)。「新しい東北」復興・創生顕彰は、スタッフにとって「誇り」と「やりがい」につながった。

「世界で一番面白い街を作ろう」をモットーに、人口流出やコミュニティの希薄化といった地域課題解決に挑む一般社団法人 ISHINOMAKI2.0。石巻市内外の人を巻き込んだネットワークを形成し、多方面からまちづくりを展開している。「新しい東北」復興・創生顕彰への応募も、「つながり」がきっかけだった。

企業やNPO、行政などと協働し、仮設住宅の住民のコミュニティ形成支援や、女性や若者の活躍推進などを行っている特定非営利活動法人 石巻復興支援ネットワーク。石巻の方言で、「一緒にやりましょう」を意味する「やっぺす」を愛称に掲げ、同じ目線で寄り添うことを大切にしたいという理念が、顕彰式の会場でも垣間見えた。