第4弾 地域住民や被災者が集う「居場所」をつくる(特定非営利活動法人 居場所創造プロジェクト)


 岩手県大船渡市で地域の高齢者の誰もが役割をもって生き生きと暮らせる拠点「居場所ハウス」を運営する特定非営利活動法人 居場所創造プロジェクト。高齢者の特技を生かした教室や、農園、食堂の運営など、様々な活動を実施している。震災後に誕生した地域住民の「居場所」は、「新しい東北」復興・創生顕彰を機にさらに地域へ認知され、新たな多世代交流を生み出している。


高齢者の生きがいと見守りを担う大切な場所

大船渡市の最南端にある末崎(まっさき)町は、人口およそ4300人、75歳以上の人口が19.7%(2015年国勢調査)と少子高齢化が進行している地域である。ここに住む高齢者が主体となり多世代が交流する拠点「居場所ハウス」は、地区公民館や小中学校、医院など町内の主要施設が集まる中心地域にあり、高齢者の元気な声で毎日にぎわっている。

 「今日は手芸教室が行われています。たくさんの方が集まる人気の高い教室の一つなんですよ」。そう話すのは、居場所ハウスを運営する特定非営利活動法人 居場所創造プロジェクトで理事長を務める鈴木軍平さん。手芸教室は月1回のペースで開催され、講師の指導を受けながら針刺しや人形などを製作しているという。

 地域には一人暮らしの高齢者も多く、日中を居場所ハウスで過ごす人もいる。「ここでの活動を生きがいに感じている方もいらっしゃいますし、地域としても高齢者の孤立防止と見守りにつながっています」と鈴木さんは説明した。


海外からの提案をもとに、地域住民でつくりあげる

 2013年6月にオープンした居場所ハウス。設置プロジェクトは震災後、アメリカの非営利法人Ibashoからの提案がきっかけで始まった。建物は、アメリカのハネウェル社の基金を活用し、陸前高田市(岩手県)にある古民家を移築・再生した。

 2012年10月から6回にわたって、地域住民が参加するワークショップを実施。居場所ハウスで「自分ができること」について話し合われ、「郷土料理が作れる」「大工仕事ができる」「草取りができる」「英語が得意」など、参加者からは様々な特技が紹介されたという。



 「ワークショップを重ね、活動に賛同するメンバーを増やしていきました」と話す鈴木さん。ワークショップで決まった「高齢者が役割を持てる場所」「自由に来て、好きなことができる場所」というコンセプトが、現在の居場所ハウスの活動のベースとなっている。

 郷土料理や生け花、絵手紙、郷土史の勉強会、歌声喫茶など、数ある教室のほとんどは地域の高齢者が講師を務める。さらに、春のひな祭りや夏の納涼盆踊り、冬のクリスマス会といった季節行事の実施や、農園での野菜の栽培や直売所「朝市」の開催、昼食を提供する食堂の運営など、新たな活動も生まれた。

 「居場所ハウスの近くには、災害公営住宅があります。季節行事などのイベントは、地域の高齢者や被災者が子どもたちやその親世代と交流する多世代交流の場となっています。日常の暮らしを少しでも快適に過ごせるよう、買い物送迎や困りごと相談会などの生活支援にも努めています」と鈴木さんは話した。


顕彰が継続の自信とモチベーションにつながる

「新しい東北」復興・創生顕彰への応募は、支援団体からの推薦がきっかけだったという。鈴木さんは、「私たちの活動を広くアピールできるチャンスだと思い、応募に至りました。支援団体の力添えもあり、選ばれることとなり、非常に感激しています」と話した。

 顕彰のニュースは、地元の新聞でも取り上げられ、地域からもたくさんのお祝いの声が寄せられた。「私たちの活動がさらに地域に認知され、イベントや教室に初めて参加する人も増えています」と鈴木さんの表情は明るい。

「顕彰は、私たちにとって継続の大きな力となったと確信しています。これからも、地域の皆さんのよりどころとなるべく力を注いでいきたいです」



特定非営利活動法人 居場所創造プロジェクト [岩手県大船渡市]
https://ibasho-house.jimdofree.com/