東日本大震災の後、それまでの当たり前だった暮らしが一変した。どうしたらいいのか、明日が見えない中、日塔マキ(にっとう まき)さんは、福島に住む若い女性が「これからの暮らしを考える」ためのコミュニティづくりに向けて「女子の暮らしの研究所」を設立。ラジオ放送やイベント の開催、福島の伝統工芸品をアレンジした雑貨やアクセサリーや企画・販売などを通して、福島の今を発信し続けた。「新しい東北」復興・創生顕 彰の受賞について、日塔さんは「うれしいです。大勢の方々に関わっていただき、取組を続けてこれてよかった」と喜びを語った。

日本の音楽シーンの第一線で活躍する小林武史さんが実行委員長となり、2017年に宮城県の石巻市で始まった「Reborn-Art Festival(リボーンアート・フェスティバル)」。従来にない手法のこのイベントは、地元に大きなインパクトを与えた。東北屈指の規模のイベントを継続的に開催することにより、多面的に復興を後押しし続けることが「新しい東北」復興・創生顕彰受賞につながった。この取り組みへの小林さんの思いを、実行委員会事務局長の松村豪太さんに聞いた。

津波により甚大な被害を受け、町民が町内外に散らばって避難生活を送らざるを得なかった南三陸町。自らも被災しながらコミュニティの再生に立ち上がったのが、復興みなさん会だ。仮設住宅・復興公営住宅でのコミュニティ作り、行政と町民の橋渡しなど幅広い役目を担い、現在も精力的に活動を行っている。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞に際してメンバーは「今までの取り組みが評価されたことがうれしい」「まちづくりに終わりはなく、小さな歩みを大切にしながら活動の輪を広げていきたい」と想いを語った。

福島県南相馬市の特定非営利活動法人あさがおが運営する就労継続支援B型事業所「きぼうのあさがお」は、福島第一原発から31kmの地点にある。原発事故が起きたとき、理事長の西 みよ子さんは精神障がいを抱える訓練生約20人とともに避難したが、行く先々で差別を受け、心を痛めた。この経験をきっかけに、精神障がい者が安心して暮らせる場所を作ろうと、グループホームを次々と開設した。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞について、「思ってもいなかったことで光栄。2021年は活動を始めて20年の節目にあたり、今後への励みになります」と話している。

福島県南相馬市の特定非営利活動法人あさがおが運営する就労継続支援B型事業所「きぼうのあさがお」は、福島第一原発から31kmの地点にある。原発事故が起きたとき、理事長の西 みよ子さんは精神障がいを抱える訓練生約20人とともに避難したが、行く先々で差別を受け、心を痛めた。この経験をきっかけに、精神障がい者が安心して暮らせる場所を作ろうと、グループホームを次々と開設した。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞について、「思ってもいなかったことで光栄。2021年は活動を始めて20年の節目にあたり、今後への励みになります」と話している。

民間の企業でありながら、東北の震災復興に向けた活動を展開してきた日本航空株式会社。国内外に多彩なネットワークを持つ同社ならではの強みを活かし、産・官・学・民との連携のもと取組の主軸にしているのは「防災教育」と「観光」を融合させた「防災ツーリズム」。学び、楽しみ、気付かせる旅で東北へのインバウンド拡大を目指す。「新しい東北」復興・創生顕彰受賞について担当者は、「関係する皆さまと一緒になって地道に活動をしてきたことを評価いただきよかった」と思いを語った。

石巻・北上地区で、震災後荒れていた農地が緑鮮やかなホップ畑に生まれ変わった。一般社団法人イシノマキ・ファームは、障がいや心身の不調の有無にかかわらず、さまざまな人が一緒に働く「ソーシャルファーム」の仕組みで、社会的に弱い立場の人たちの雇用を生み出そうと奮闘する。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞にあたり、代表の高橋由佳さんは「スタッフ一同感激している。被災3県の木材が使われたプレートがとても気に入りました」と喜ぶ。

津波で非常に大きな被害を受けた気仙沼市鹿折地区。地区振興協議会等の組織が機能を喪失する中、「自分たちの手で復興を」と立ち上がった住民が設立したのが、鹿折まちづくり協議会だ。街の復興プランを市に提言するなど、積極的に動いた。一旦は衰退しそうになったものの若手の加入によって盛り返し、現在は震災からの復興にとどまらない活動を展開している。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞について「成果が認められ、活動を続けてきてよかった」と喜んだ。

釜石市の西部、山あいに位置する甲子(かっし)地区は古くから「甲子柿」を生産していた。独特の製法が生み出す食感とおいしさが他にはない魅力だが、震災以降ほとんど作られていなかった。「地元の宝をなくすものか」と立ち上がった夫妻には次々と応援者が現れ、甲子柿は今や首都圏でも知名度を獲得しつつある。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞について藤井サエ子さんは、「光栄です。生産者の皆さんにも励みになる」と語った。

震災時、緊急的に被災妊産婦受け入れ事業を立ち上げた発起人の一人、助産師の佐藤美代子さん。目の前の「お母さん」たちに寄り添い、走り続けた。現在は花巻市などに「産前産後ケア」を行う拠点を運営する。4人で立ち上げたグループは任意団体から特定非営利活動法人に成長し、活動場所や拠点数を増やしながら、まだその先を見据えて邁進している。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞について、「被災地限定ではない、内陸部での活動を含め、活動全体に光を当てていただき光栄です」と喜んだ。

岩手県北部の沿岸にある野田村は津波で甚大な被害を受けた。多くのボランティアが支援に訪れたが、小さな村の役場は混乱状態。そこでつなぎ役を買って出たのが貫牛利一(かんぎゅう としかず)さんだ。個別に活動していた大学や団体を一つのチームとしてゆるやかにまとめ、情報共有と引継ぎを徹底し継続的な支援を展開した。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞について「やってきてよかった」と喜びつつも、「これで終わりではない。一人ひとりの心の復興が叶うまで寄り添っていく」と誓った。