第6弾 移住者が創る新たなコミュニティーと地域との絆(半島移住女子 「ペンターン女子」)


 宮城県気仙沼市の北東部にある唐桑半島では、震災後に全国から女性たちが移住し、それぞれが生業を持ちながら生活している。彼女たちは、「ペンターン女子」を名乗り、唐桑半島での生活をブログやインスタグラムで発信。住民との交流や行事への参加などを通して、地域の魅力を全国に届けている。「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞は、地域住民にとっても喜ばしい報告となり、彼女たちとのさらなる絆の深まりに寄与したという。


「まちのパワー」を感じて、唐桑半島への移住を決める

 宮城県気仙沼市の魚市場に隣接する、みしおね横丁。トレーラーハウスを活用した飲食店が軒を連ねる横丁の一角に、「鶴亀の湯」と「鶴亀食堂」がある。夏は、カツオの水揚げのため気仙沼に入港した漁師たちでにぎわい、風呂で汗を流し朝食をとる。

 地域には一人暮らしの高齢者も多く、日中を居場所ハウスで過ごす人もいる。「ここでの活動を生きがいに感じている方もいらっしゃいますし、地域としても高齢者の孤立防止と見守りにつながっています」と鈴木さんは説明した。

 そのメンバーの一人、根岸えまさんが銭湯と食堂の看板娘として切り盛りしている。「私が大好きな漁師さんが集まる場所。天職に巡り合いました」と笑顔がこぼれる。根岸さんは、2015年に東京から気仙沼市に移り住んだ。大学生の時にボランティアで訪れた唐桑半島で、被災しながらもたくましく生きる人々のパワーに魅了されたという。


地域ならではの半農半漁のライフスタイルを発信する

 根岸さんは、震災後に唐桑半島に移住した4人の女性と古民家をシェアして暮らす。唐桑半島では、半島(Peninsula)に移住(Iターン)した女性、「ペンターン女子」と呼ばれるメンバーが、2016年からブログやインスタグラムを通じて、唐桑半島や気仙沼での暮らしやまちの魅力を発信している。

 メンバーは現在14人。出身地もここに住むようになったきっかけも違う。根岸さんのように気仙沼で起業する人、地元企業に就職する人、地元の男性と結婚して子育てする人——。生き方もさまざまである。

 「期間限定で移住生活を送る子もいます。でも、この海とここの人が好きという思いはみんな一緒です」と根岸さんは話す。「夏祭りに出店を出したり、地域の綱引き大会に参加したり、おばあちゃんといっしょに野菜の産直市を手伝ったり。地域に溶け込みながら活動しています」

 この地で生き方を見つけ、豊かな自然と温かい人々と関わりながら、メンバーそれぞれの充実した毎日が繰り広げられている。「ブログやインスタグラムなどから、このまちの原風景や力強さを、たくさんの人に向けて発信できたらいいなと思っています」と根岸さんは語った。

顕彰の受賞によって、地域に新たな笑顔が生まれる

 ペンターン女子のメンバーにとって、「新しい東北」復興・創生顕彰の受賞は寝耳に水の出来事だったという。

 「地元の人もとても喜んでくれて、おばあちゃんたちがお祝い会を開いてくれました。そこで、『ペンターン』という言葉をようやく覚えていただくことができました」と根岸さんはにこやかに話す。「私たちは、ここ唐桑での生活を楽しみながら、大好きな地元の皆さんを笑顔にしたいと思っています。顕彰の受賞によって、地元に笑顔を届けられたことは、とてもうれしいです」

ペンターン女子は、これからもそれぞれのライフスタイルの発信を続ける。「移住者もそうですが、気仙沼や唐桑のファンを増やして、このまちとつながる活動人口をもっと広げていきたいですね」と根岸さん。これからも、メンバーと共に等身大の生き方を全国に届けていく。




半島移住女子「ペンターン女子」 [宮城県気仙沼市]
https://pen-turn.com/