Fw:東北Weekly[特別編]「南三陸をつなげる30人」~個々の活動の可視化によるまちのブランド化と担い手育成~

「新しい東北」官民連携推進協議会は、宮城県、福島県、岩手県の各県ごとに、「官」と「民」から構成される意見交換会を実施し、Fw:東北Weekly[特別編]を企画しました。宮城県での意見交換会は、株式会社七十七銀行、独立行政法人中小企業基盤整備機構東北本部、宮城県、国立大学法人東北大学、一般社団法人みやぎ連携復興センター、復興庁、復興庁宮城復興局が参加し、官民の協力で取り組む課題を議論し、ワークショップを企画しました。そして、2019年2月5日(火)に、宮城県でのFw:東北Weekly[特別編]として、南三陸町役場エントランス「マチドマ」(宮城県本吉郡南三陸町)にて、「『南三陸をつなげる30人』~個々の活動の可視化によるまちのブランド化と担い手育成~」を開催しました。今回は、この様子を紹介します。

復興庁参事官寺本氏の開会のあいさつに引き続き、「新しい東北」と官民連携推進協議会についての説明、Fw:東北の活動紹介が行われました。
続いて、本日のワークショップの進行役を担当する、株式会社フューチャーセッションズの野村恭彦氏から本日のテーマであるフューチャーセッションについての説明が行われました。

南三陸町では、震災から復興が進み復旧工事などのハード事業がひと段落する中で、「森里海ひと いのちめぐるまち 南三陸町」を掲げて、地域循環型社会の実現を目指しています。創造的復興に向け、行政・住民が一体となった復興の基盤を整備するとともに、南三陸町ブランドの創造、地域コミュニティの再構築などハードからソフト事業に注力し、さらには既存の地域資源を生かした未来へのまちづくりのための変革とチャレンジを始めています。野村氏は渋谷区で『渋谷をつなげる30人』というプロジェクトに関わっており、セクターをつなぐ構成を意識し、その内訳は企業:20人、行政:2人、NPO:8人という比率にしているとのこと。このプロジェクトでは、社会課題と地域の観光資源や産業、人材などを掛け合わせてセクター間の連携を可視化し、表現できるような状況を生み出すことをめざしている。今回の南三陸町のワークショップでも、「震災後、レジリエントな地域づくりの活動に取り組んできた地元企業家・活動家」17人、「地元企業家・活動家のテーマを支援できる可能性のある大手企業・宮城県内の企業」8人、行政2人、意見交換会委員4名という構成でこの日のワークショップは開催されました。野村氏は、「今回のセッションの結果に従い、その後、宮城県さらには被災地3県へ広げていければ」と述べました。


この日のフューチャーセッションは、「はじめに一人ひとりの物語を共有する、ストリーテーリング」ワークショップから始まりました。まず初めに、「持続可能なまちとは?」「持続可能な生き方とは?」について各自に考えてもらい、4人一組で情報を共有しました。続いて行われた、「南三陸町から世界に、新たな問いを発信する」について話し合うワークショップでは、南三陸の内外のプレーヤーが連携しやすい状態を作る、世界から「持続可能なまち」を学びに来る人を増やすことを目的に各グループで話し合い、発表してもらいました。


ワークショップを始める前に、「あべこべ体操」でアイスブレークを行いました。「あべこべ体操」とは、たとえば「真剣な顔をしてふざけた声で話す」「うれしい顔をして悲しい声で話す」といったもの。二人一組でこのアイスブレークを行い、場の雰囲気が温まったところで、「ストリーテーリング」ワークショップが始まりました。


4人一組になり、語り手、聞き手、書記、コメントする人とそれぞれが役割を分担して、以下の4つについて各自が順番に語り手となり話しました。


①  最も情熱を傾けて取り組んだ活動は何ですか?
②  その過程で、もっともうれしい奇跡のような出来事は何ですか?
③  なぜ、そのような奇跡が多数起きているのか?そのような奇跡が起きた南三陸町の強みは何ですか?
④  この町を世界に誇るなら「何のまち」と呼びたいですか?


各質問に3分間、1セット:12分間で語り手は答えます。全員が話し終えたところで、模造紙(イーゼルパッド)にストリーテーリングをもとにグループのメンバーの自己紹介あるいは他己紹介をイラストなども書き込みながら書きだしました。その後、7グループがテーブルごとに発表しました。


休憩後、南三陸町から世界に「新たな問いを発信する」について話し合いました。初めに10年後の未来に向けて挑戦したいことをA4の紙に各自が書き、「組んでよい良いテーマ」になる人同士で4人一組のグループを7つ作りました。野村氏から本日のこのワークショップのアウトプットは、南三陸町から世界への「問いかけ」という説明があり、


①  世界に誇りたい南三陸町ブランド「○○○のまち」を考える
②  活動地域は?
③  チャレンジしたい問いを考える「どうしたら、○○○○○○ができるか?」
④  国内外から南三陸町に来て、体験・共創してほしいことは?
「一緒に○○○○○○してほしい」


この4つの問いを各グループで考え、模造紙に書くことで、チャレンジしたい問いが可視化されました。40分ほどのグループワーク後には、7グループの発表が行われました。各グループの発表のテーマは以下の通りです。


A:まるごと環境教育のまち
B:女性が安心して子育てできるまち
C:かっこいい大人がいるまち
D:サスティナブルかつレジリエントなまち
E:自然産業のまち
F:高級食材のまち
G:南三陸時間のまち


以上の発表が行われました。


最後に宮城県震災復興・企画部山﨑賢治氏より「南三陸町の可能性が見えてきたと思う。町外の人も入ったことで化学反応も生まれた。今日の取り組みをこの先につなげたいので、本日のワークショップを実施したことをぜひこの町のまちづくりに活かして頂きたい。」との閉会の挨拶があり、ワークショップは終了しました。

当日の参加者等からは、以下のような感想を聞くことが出来た。

<参加者>

■地元参加 NPO法人ウィメンズアイ 栗林美知子氏

町内からの参加者はすでに知っているし、どんな仕事をしているかは知っていたけれど、直接本人から話を聞くことが出来たので参加してよかった。大手企業や行政の人も参加していたので、震災後から続けて南三陸町に関わった人たちの話は活動を続けていくうえで元気をもらえた。アイデアを出しっぱなしではなく、また集まる機会があればよいと思う。


■地元参加 戸倉漁師の会 後藤伸弥氏

他の地域の人と触れ合えることが出来て良かった。特に地元の農業関係者や漁業関係者と出会えてよかった。今日のワークショップでの話は、夢物語じゃなくいいものから一緒に取り組んでいきたい。考えていることが似ているということがわかり、お互いに求めていることが一致していることに気づくことが出来た。何かを始めるきっかけをつかんだ。


■大手企業参加 イオン株式会社 鶴見久美子氏

南三陸町に来たのは、5・6回目。来るたびごと地元の人とのコミュニケーションをするたび、課題を知ることになる。今日は改めて新しい課題を見つけた。民間として関わることも見えてきた。南三陸町には様々な資源を持っている。分水嶺をもっているので、南三陸町に降る雨は海へとつながる。環境配慮したものは町のすべてにつながるし、街の戦略になると思った。国際認証(FSC認証、ASC認証、ラムサール条約認証)を揃えている町としては、国内でNO.1だ。


■株式会社フューチャーセッションズ 野村恭彦氏

自分のやりたいことや思いがつながって地元の新しいつながりができたようだ。思いをもってつながることで、他人事の人がいないことが分かった。これがこの町の強みだと思う。地理的に町外から見て遠いことで、自分たちの取り組みのすごさが伝わりにくい。里・海がつながっているのも、外からは見えにくい。それを外に発信する難しさが課題ではあるが、地の利の不利は、やる気の元であり、ポテンシャルを高めているのかもしれない。復興のプロセスで大切にしてきたことを外に発信するにふさわしい、これまでの活動を発信してほしい。偉い人はつながっているけれど、若い人同士はつながっていない。若手の30人が次の南三陸町の担い手になると思う。


■南三陸町役場 阿部大輔氏

(町の事業で)集まる機会は多いけれど、今回のように民間企業が入ってワークショップを行うのは初めて。発表された内容や発想は面白かったが、より具体的な話をするため、思いの共有とそれをどうやって形にできるかが課題である。


<意見交換会メンバー>

■宮城県 山﨑賢治氏

官民連携推進協議会でこれまで話し合い取り組んできたことは、協議会に参加している1,000社近い企業のパワーを活かして地域をどのようにエンパワメントできるか。支援側の民間企業のヒト・モノをうまくつなげば、被災地域の企業やNPOを前進させることもできる。今回のモデルとなった渋谷区のプロジェクトでは、集まったメンバーが「面白いことをやってみた」ことが持続性のある活動につながっている。復興庁もあと2年。これまで新しい東北等の取り組みで培ってきた地域内外のいろいろなリソースをつないで可視化することでこの8年のまとめになり、次につながるきっかけになる。各市町村をつなぐ30人が企業や地元の人材のネットワークのインデックス(見出し)になる。地元と外の双方向のベクトルにつながる。今回のワークショップでは、そんな狙いに共感してもらったと思う。そしてこれからが課題。渋谷をつなぐ30人の相関図のような人材MAPを完成させ、そこからさらに多くの活動する人たちの掘り起こしにつながることを期待したい。


復興庁参事官 寺本 耕一氏は、「南三陸町で活躍している人、関わっている人が集まったというのが、他の2県との違い。これからの南三陸町をどうするか方向性が見えたように思う。なんとなく顔を見知っていた人同士が直接つながったことは、本日のワークショップの意義があった。地元の方だけでなく町外の人が参加したこともプラスだった。今後は、今日のワークショップで出たアイデアを活かして、この町でどう形にしていくかだ。」と、開催後に述べられました。

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