第4弾 若い力が地域を巻き込む「ゆるやかに持続する農村」(一般社団法人ReRoots)


津波で被害を受けた宮城県仙台市若林区の農業支援のために、大学生を中心として結成された一般社団法人ReRoots。若者ならではの視点で展開する取り組みには、「豊かな農村を未来に継承したい」という強い意識があった。


学生たちの活動が農村に若者を呼び寄せる

「当初、ReRootsの活動は農地のガレキ撤去などの復旧作業が落ち着いたら終了する予定でしたが、地域の農家の方から『ぜひ農業支援を続けてほしい』と言われて、今年でついに8年目を迎えます。ReRootsがあるから若者が農村に自発的に来る、そんな流れを作ったことが農家の方のモチベーションにもつながったのだと思います」と語る代表の広瀬剛史氏。ReRootsという組織自体が、地域の活性化において不可欠な存在になっているのだ。



ReRootsが目標として掲げる若林区の10年後の姿は、“ひなびた持続する農村”だ。
「無理に発展しようとしなくていい。田舎ならではの風土を生かした活力のある農村を、地域のみんなで協力して運営していこう、そんな思いを込めています」と広瀬氏。


そのために行っているのが、若林区の誇る農業文化を次世代に継承していくこと、そして地域の住民同士のコミュニティを活性化させ、自活力のある地域を作ることだ。


「若林区の農業の課題となっているのが、農家の担い手不足です。そこで、考えたのが“農村塾”です」。広瀬氏が語ってくれたのは、農業文化持続のための、新しい就農サイクルの試みである。


「農業技術だけ学んでも、若者が新しく農家として地域に定着するのはなかなか難しいんです。地域の方と触れ合い、独自の地域文化を学んではじめて、その土地に溶け込むことができる。ただ、若者にいきなり現場に飛び込めと言ってもハードルが高い。そこをReRootsが窓口となることで、若者たちがベテラン農家の方の指導を直接受けながら、地域の中で農家としてスキルアップを図ることのできる仕組みを作りたいと思っています」(広瀬氏)


一方、地域で助け合い、つながりを維持していくための情報提供やイベント企画などの活動にも積極的だ。


「農業やコミュニティ形成における地域の課題点を取りまとめ、冊子にして地域住民の方に配布しています。学生たちが真剣に地域おこしに取り組む姿勢は周囲に刺激を与え、地域全体の意識が前向きに変わってきているのを感じます」と、広瀬氏は語る。


「若いからこそ、吸収力や行動力は随一です。今後も地域の様々なコミュニティを巻き込み、彼らの考える魅力的な地域づくりを次々と実現していくことでしょう。田舎ならではの活気で緩やかに持続する農村を、地域一体となって目指します」


ReRootsが持つ「若い力」のポテンシャルが、農業文化の持続と地域の活性化を担う、大きな力になろうとしている。


一般社団法人 ReRoots(宮城県仙台市)
https://reroots.nomaki.jp/