第1弾 「見知らぬ土地で頑張る理由が家族に伝わる」のも顕彰の意義だと思う(特定非営利活動法人SET)


岩手県陸前高田市の広田町をベースに、町や町の人と、全国の大学生とを結びつける「ひとづくり×まちづくり」事業を展開している特定非営利活動法人SET。東日本大震災直後から積み重ねた活動が徐々に町全体に浸透する中、「新しい東北」復興・創生顕彰に応募した真意を聞いた。


「活動の価値」や「事業の進め方」への理解が広まればいい

「改めて言うまでもなく、私たちは誰かに表彰されたくて活動しているわけではありません」。だから、三井氏たちSETはこれまで、「『新しい東北』復興・創生顕彰」などにも応募してこなかった。


その三井氏が顕彰への応募を決めたのは、SETの活動を、広田町の人にもっと知ってもらいたいという考えが生まれたからだ。


「スタディー・ツアーや民泊事業などを通じて、SETとつながりのある人は現在、約800人に及びます。広田町の人口が約3,000人ですから、4人に1人の計算になります。かなりの割合になると思いますが、それでもSETを知らない人がまだまだ多く、名前は覚えていても、若い人が何かやっているなという程度で、詳しくはわからないという人もいます。表彰されたり、賞をもらったりすると、そういう人たちに、どのような活動をしているかを伝えられると考えたのです」


SETの活動の価値や、事業の進め方などに対して、少しずつ理解が広まればいいとの思いから、2018年度は「『新しい東北』復興・創生顕彰」に応募して選ばれたほか、「復興庁感謝状」「東北みらい賞」「第13回マニフェスト大賞 最優秀シティズンシップ推進賞」をそれぞれ受賞した。



「こうした賞をいただいたことは、広田町の人たちだけでなく、スタッフや協力してくれている学生の家族へのアピールにもなっています」と、三井氏は、想定を超えた受賞の効果を喜んでいる。


「スタッフたちは広田町で充実した日々を過ごしていると思いますが、ご家族の中には、きちんとした企業に勤めず、広田町で何をしているのだろうかと、不安に思っている人もいます。受賞は、そうしたスタッフやご家族には何よりも喜ばれていますね」と三井氏は言う。


また、受賞は、スタッフたちの自信につながるという効果もある。「自分たちの取り組みが間違っていなかった証でもあるわけですから、受賞は仕事に対する力を与えてくれます」。


受賞はゴールではない。当事者のモチベーションアップはもちろんのこと、組織を取り巻く人々にもさまざまな影響を与える。SETでは、今回の「『新しい東北』復興・創生顕彰」受賞を、自分たちの価値や事業戦略への評価を知るバロメーターとして、戦略的に活用している。


特定非営利活動法人SET(岩手県陸前高田市)
https://set-hirota.com/