ベンチャー企業の研究開発~株式会社バンザイファクトリーの取組~

特集(復興ビジネスコンテスト2015)

東北復興ビジネスコンテスト2015

※本記事は、2015年10月12日に「『新しい東北』フォーラム in 仙台」の、リレートークに登壇いただいた際の発表内容を編集して掲載しています。

株式会社バンザイファクトリー 代表取締役 高橋 和良

震災をきっかけに、リスタート

 陸前高田市で育ち、東京で就職しました。海外留学なども経験したが、生きていくためには仕事で儲けていくしかないと考え、せっかくなら上場するような企業を作りたいという思いをもって仕事に取り組んできました。仕事は順調に進み、45歳で自ら起業した会社をM&Aで売却し、リタイアして趣味の木工に打ち込みながら余生を過ごそうと考えていました。

 しかし、そんな矢先に東日本大震災が発生。親戚や町内会の人の多くが亡くなくなりました。生まれ育った陸前高田市の惨状を目の当たりにして、この地でもう一度仕事をしようと思い立ちました。

風車付の工房を建設、様々な製品開発に挑む

陸全高田氏に工場建設、自宅建設、風力発電を設置


 仕事場となる工房を陸前高田市内に建設することとし、そのための資金をねん出するために自宅を売却しました。これまでの蓄えをこれに加えて、自宅兼工房を建設、さらに風力発電機も設置しました。


星影のパスタ、冷麺、を製造


 リタイア前はコンピュータテクノロジー関連の事業を手掛けていたが、食品分野に挑戦することとし、冷麺やパスタの製造に取り組みました。現在製造しているパスタは普通のパスタでなく、断面が星型のパスタです。簡単そうにみえるが、日本で商品化しているのは当社のみという製品です。「星型のパスタ」というネーミングは、陸前高田市出身の歌手千昌夫さんの歌からヒントをもらいました。


我杯


 次に、「我杯」(わがはい)、「マギーカップ」や「福ちょこ」といった木工製品の製造・販売をはじめました。「我杯」(わがはい)や「マギーカップ」は、自分の手にあわせたオーダーメイドのコップであり、一人一人の手の型を取って、それを3次元スキャナで読み込んで、ポリゴンデータを作成し3次元で削って作っていくものです。木に手の型を再現するため、高い精度で木を削っています。


Apple iPhone6ケース


 さらに、iPhone6用の木工ケースの製造に成功し、アメリカでも販売をしています。好評でニューヨークの近代美術館でも展示したいとの声も出たほどです。

「砂糖・塩・醤油」を使わない甘露煮

 リタイア前の仕事が医療と関係が深かったこともあり、健康への高い関心を持っています。料理の基本である砂糖、塩、醤油の取りすぎが健康を害すといわれることから、健康のために砂糖・塩・醤油を使わない食品が作ってみようと考えました。しかし、「砂糖・塩・醤油」を使わない料理は難しいです。100人中100人全員に無理と言われました。ただ、当社はベンチャー企業ということもあり、無理とされるものでも退路を断って取り組んで、必ず成功させてみせる、という気持ちで取り組みました。

 最初の甘露煮はおいしいといえるものではありませんでした。知人にも試食してもらったが、本心からおいしいとは言ってくれませんでした。自己資金で研究に取り組み、退路も立っていることから、試行錯誤を繰り返し、様々な失敗をしながら、商品化を進めました。助成金等をもらっていたら、途中で甘えが出てうまくいかなかったかもしれないと考えています。


三陸甘露煮


 この商品「三陸甘露煮」は、2015年10月に「新しい東北」復興ビジネスコンテスト大賞に選ばれました。様々な失敗を乗り越えて完成させたため、受賞は非常にうれしいものでした。

夢を与える

 夢は重要です。夢を持てないと復興は難しい。ベンチャー精神に最も重要なものです。子供たちが当社に来ると、風車や次元のモデリングデータ・工作機をみて、興奮して「これなに?」と聞いてきます。その興奮を受け止めて説明をしてあげると、「自分を作ってみたい、作れるようになりたい」となります。いつもその時は、「死に物狂いで勉強しろ、勉強が身を助ける」と背中を押している。これからも陸前高田市で地元の子供たちに夢と感動を与えて続けていきたいと考えています。

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