Fw:東北 Fan Meeting 2023 Cheer Up! Project Vol.4 北三陸の味を全国へ届ける「さんピク」の挑戦~“可愛すぎない海女”が挑む6次化商品開発 イベントレポート
東京から岩手県久慈市に移住をした合同会社プロダクション未知カンパニー代表の藤織ジュンさんは、「北三陸をもっとオモシロく」を掲げ、久慈市を含む北三陸のプロモーションに注力をしています。“可愛すぎない海女”を愛称に、自ら海女の実演を行うほか、北三陸観光大使、三陸ジオパーク認定ガイドなど、様々な活動で北三陸の魅力発信に活躍の場を拡げています。
そんな藤織さんが、北三陸の味覚を全国へ拡げるために企画開発を手がけたのが、山菜のピクルス「さんピク」です。採れたての山ウドやうるいといった山菜を、北三陸産の天然真昆布、三陸あわびたけの出汁などでマイルドな味に仕上げた逸品で、シーズンが限られる山菜を、年間通じて楽しめるのも大きな特徴です。
「優良ふるさと食品中央コンクール」、「新東北みやげコンテスト」、「岩手ぅんめぇ~もん!!グランプリ」など、多くのコンテストで受賞した「さんピク」で、北三陸のよさをいかに拡げていくことができるのか。藤織さんご自身のユニークな企画力、実践力も魅力と捉え、専門家を交えて、みなさんと考えていきました。
プレゼンテーション
挑戦者 藤織 ジュン さん
(合同会社プロダクション未知カンパニー代表社員)

東京生まれで舞台俳優やナレーターなどの経歴のある藤織さんは、東北での地方公演「焼け跡から」の公演がきっかけで岩手県久慈市に定住することになりました。現在では、久慈市地域おこし協力隊(現在は任期終了)、日本流行部岩手流行部長、「北限の海女観光PR隊」などに参加し、合同会社プロダクション未知カンパニーを2018年に創業しました。
北三陸の「山うど」や「うるい」という山菜を使ったピクルスを商品化しました。砂糖を使用せず、蜂蜜とみりんで甘みを加え、北三陸産の天然真昆布や三陸あわびたけの出汁、ドライトマトを使い、味をマイルドにするために隠し味としてりんご酢を使用しました。赤色をした山うどを使って、岩手の美味しいが詰まっています。久慈市の地元の方からたまたま山うどを食べさせてもらった時に感動し、この感動を何かの形にして多くの人に広めたいと思い、試行錯誤を繰り返しながら商品化に辿り着きました。北三陸の味覚を全国へ拡げたいと頑張っておられます。
アドバイザーコメント
小田 恭央 さん (SSS合同会社 CEO)

キャラクタービジネスをされているSSS合同会社CEOの小田さんから、東北を中心にしたキャラクター利用方法や経済活動についてお話いただきました。
「東北ずん子・ずんだもんプロジェクト」の特徴は、申請なしで東北企業が無償で使えるキャラクターになっているところです。TOKYO MXや秋田放送などでアニメが放映されています。イベントのコラボレーションや商品のコラボレーションも実施しています。さらに音声合成ソフトも展開されており、YouTubeでも1億回以上の再生回数を記録しています。
東北のいろいろなところでキャラクターを使ってもらうことで、物が売れていき、経済が回っていくことを目指しています。クラウドファンディングを活用したり、地元のスタンプラリーなどのイベントなどを使ったりして、地元の活性化を促していきたいと考えています。
コラボレーションの中には、お米を作っている方々、楽曲作成をしてCDを販売している方々、キーホルダーなどを製作して販売している方々などジャンルは幅広く、飲食業界にも展開しています。さらに「成功するクラウドファンディング」という本を書いて出版されています。
小田さんの大きな特徴として、最初からノウハウを持ってスタートしたのではなく、事業をいわば走らせながらノウハウを獲得していき、同時に事業も拡大させていったところにあります。
トークセッション

ここから、登壇者と参加者、ナビゲーターの原亮(エイチタス株式会社)も交えて、特定のお題にそって意見を述べ合うトークセッションが行われました。
藤織さんは「さんピク」を年間を通して販売していくに至るまでに多くの問題を乗り越えていきました。うどという山菜の美味しさの認知度が低かったり、ピクルスではなく、日本で一番販売されている漬物であるキムチをつくった方がいいのではないかと言われたりしてきました。現在の販売量は年間400個程度ですが、最低3000個のロットでないと引き受けてくれない工場などが多い中、少ないロットで作ってくれる工場を見つけることができました。商品デザインから始まり、プリントTシャツへの販売など、上手にマーケット開発を行ってきました。ブランド名に「北三陸」という名称を含めたのは、単に商品販売だけでなく、1つの市町村だけではなく、地域PRや移住PRになればとの思いが含められています。
藤織さんの強みは、0を1にするところです。もちろん1を100にしていく活動が今後の課題と感じています。地元の方からすると、うどを含めた山菜は買って食べる物ではなく、その辺に生えていて自分で摂って食べる物という認識です。藤織さんはそれを一つのビジネスチャンスとして捉え、それを地域活性の一助にされているところが強みです。 今後はうどを使ったサイダーなど多くのアイデアが生まれています。さらに今年はNHKドラマ「あまちゃん」の再放送もあり、北三陸の久慈市に注目が集まりました。移住コーディネーターもされている藤織さんはこれをきっかけに、北三陸への関心が高まって、いい経済の循環が起こり、より多くの人が移住にも関心を持ってくれたらと思っています。
参考リンク
会議概要
- 日時:2023年12月14日(木) 19:30-21:30
- 形式:Zoomミーティングによるオンライン会議
- 参加者数:41名
- 主催:復興庁
- 企画運営:エイチタス株式会社