Fw:東北 Fan Meeting 2023 Cheer Up! Project Vol.1「世界三大漁場で描くアップサイクル事業の成長軌道〜廃漁網から生まれる事業連携とは?」

Fw:東北 Fan Meeting 2023 Cheer Up! Project Vol.1「世界三大漁場で描くアップサイクル事業の成長軌道〜廃漁網から生まれる事業連携とは?」 イベントレポート


 海洋プラスチックゴミが世界的な社会課題となっている中、その要因のひとつになっている廃漁網を回収し、再資源化させ、各種製品の材料としてメーカー企業等に提供するアップサイクルが、世界三大漁場の気仙沼から生まれようとしています。
 宮城県気仙沼市でamu株式会社を設立した加藤広大さんは、学生時代に東日本大震災後のボランティアで気仙沼に通い始め、都内の大手スタートアップで経験を積んだのちに移住。「海洋プラスチックゴミの40%を占める漁具を未来の資源にする」をミッションに掲げ、アライアンス先の開拓や投資家との連携に動き出しています。
 世界三大漁場から再資源化される素材は、数十トン規模での出荷が可能。廃漁網が豊富な資源に生まれ変わることで、メーカーや投資家とどのような協業が可能になるのか。amuの取組と可能性について、専門家を交えてご参加のみなさんと考えました。


プレゼンテーション
挑戦者 加藤 広大さん (amu 株式会社 代表取締役社長)

 加藤広大さんは神奈川県小田原市出身。大学1年生の夏休みに初めて気仙沼市に訪れてから「沼」にはまり、1年間のうち100日以上、気仙沼に入り浸る生活を送ります。その後、「株式会社サイバーエージェント」に入社し「AbemaTV」の番組プロデューサーを担うなど活躍されました。忙しい日々の中でも加藤さんは「気仙沼に関わっていきたい」という感覚がずっとあったそうです。それで「地域おこし協力隊」として気仙沼に移住し、2023年に「amu株式会社」を設立されました。
 海洋プラスチックゴミの44.5%が漁具です。今までは漁具を産業廃棄物として捨てる以外の選択肢がありませんでした。漁師の魂、物語がつまった資源が大量に廃棄されていることは「もったいない」 という考えがスタートだったそうです。「漁具から、価値の常識をひっくり返す」というミッションのもと、廃漁具から生まれたナイロン素材ブランド“amuca”を立ち上げ、質、量ともに世界一漁具を資源化するベンチャーを目指しています。漁具はリサイクル原料としての強みがあり、リサイクル保留が良く回収コスパが非常に高いことも示されました。
 amuは可能性を紡ぎ「廃」漁具を未来の資源にします。加藤さんは「最終的には、海の厄介者である廃業具の価値を日本で、世界でひっくり返していきたいと思っています」と語ってくださいました。


アドバイザーコメント 吉田 匡さん(タシテン株式会社 代表取締役)

 吉田さんから「失敗から学ぶ」~初期ステージにおける事業の成長戦略~というテーマで、新規起業家が陥りがちな失敗パターンから、この先のシナリオを描く際に必要な考え方を教えていただきました。
 吉田さんは、成功は美化されるが、失敗は後悔としてそのまま残る、そこから改善策を練ってさらにレベルアップできるので失敗から学ぶことに真実があるのではいか、と指摘されました。

 失敗のパターンを4つ考えました。
 1.マーケティング的失敗
 2.戦略的失敗
 3.起業家自身の失敗
 4.オペレーションの失敗

 「これまで蓄積してきた私の経験を活かしてやれば絶対良いものができる。必ず売れる」「色々な人に話をした。みんな『いいね!』『売れるよ、私なら買うね』と言ってくれた」など、よくあるマーケティング失敗の事例と改善策が紹介されました。
 吉田さんは「これまでのお話し、聞く人にとって身につまされるものだったかもしれませんし、至極、普通のことも多く含まれています。それに気づく、気付かされることも大事かと思います。失敗せずに日本、そして東北が復興していければ、という思いを込めてお話させていただきました。ありがとうございました」とコメントしてくださいました。


トークセッション

 次に、登壇者と参加者、ファシリテーターの原亮(エイチタス株式会社)を交えてトークセッションが行われました。
 「競争相手はいますか」「今後ナイロン以外の原料を使った取り組みはされますか」「気仙沼で事業を展開するメリットはなんですか」などの質問や「市場規模の考え方」「海外展開について」など、活発に議論が展開されました。
 最後に加藤さんは、「漁具の回収と売る時のアイデアは大募集中です。スポーツチームや、高い縫製技術を持っている地域とかを勉強して、コラボレーションを行っていきたいです」と話してくださいました。
 吉田さんは「応援のポイントとして、加藤広大さんのストーリーにどれだけ共感できるか、私は網と聞くと球技が思い浮かびました。こうした分野でも広がりはあるのかな、という所と、海外展開についてですが、例えばインドは、プラスチック製の買い物袋が禁止になり、中国ではバイクは電動しか走れない、というように発展途上国の方が一気に施策を行う場合があるので、海外の環境や情報を持っている人と繋がるといいですね」とコメントしてくださいました。


YouTube動画

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参考リンク


会議概要

  •  日時:2023年10月6日(金) 14:30-16:30
  •  形式:Zoomミーティングによるオンライン会議
  •  参加者数:21名
  •  主催:復興庁
  •  企画運営:エイチタス株式会社