東北暮らし発見塾(久慈校)〜個性が活きる仕事と暮らしを考える

東北暮らし発見塾(久慈校)〜個性が活きる仕事と暮らしを考える イベントレポート


東北への移住をテーマとした「東北暮らし発見塾」、今回は「久慈校」として、岩手県久慈市を取り上げ、市長や移住者の話が聞けるオンラインイベントを開催しました。
 岩手県北東部に位置する岩手県久慈市は、連続テレビ小説「あまちゃん」のロケ地として広く知られ、国内最北端の海で漁をする「北限の海女」の町であるとともに、琥珀の採掘や肉食恐竜の化石発掘などでも知名度が高まり、三陸でも個性的な特徴をもつ地域です。
 本イベントでは、遠藤譲一市長が、地域の魅力について参加者のみなさんへ直接語りかけるほか、移住者たちの実体験に基づく生の声などを聞きだしながら、参加者のみなさん同士とも語り合える場となりました。
 ゲストには、地域おこし協力隊として赴任した移住者の中から、畜産業の支援に挑む小野沢りん さん、民間小売大手の勤務から久慈へUターンして現在では水産の振興を手がける西村一章さんのお二人をお迎えするほか、同じくUターンで、アパレル業界からカフェ経営に転身したNANAMARUNI COFFEEの嵯峨恒宏さん、そして、久慈市での海女の募集に興味本位で飛び込み、東京出身の“可愛すぎない海女”として活躍の幅を広げ、いまでは移住コーディネーターとしても尽力する藤織ジュンさんも交えて久慈の楽しみ方を教えていただきました。
 また、「社会や環境がよくなって、そしておもしろい」をテーマとした未来をつくるSDGsマガジン「ソトコト」との連動企画として、同誌の指出編集長を迎え、久慈市への移住をリアルに掘り下げました。


インプットトーク
遠藤市長による地域の魅力・取り組み紹介
遠藤 譲一 氏(久慈市長)

遠藤市長から地域の魅力・取り組みをお話いただきました。
 久慈市は、連続テレビ小説「あまちゃん」のロケ地としても知られています。2023年には放映10周年を迎えますが、今でも多くのファンが久慈市に来ているそうです。他の映画のロケ誘致等にも取り組んでいます。
 久慈市は琥珀の日本一の産地です。久慈の琥珀は約9000万年前のものです。同じ地層から恐竜の化石が発掘されるなど、貴重な発見が相次いでいます。
 久慈の山では日本一の白樺林が広がり、「北限の闘牛大会」が毎年4回開催されています。縫製業や畜産業も盛んです。
 また久慈市はクリーンな電気で自給自足をするまちを目指しています。洋上風力発電事業の導入や資源リサイクルとしての実証プラントの誘致を行っています。11月には環境省から「脱炭素先行地域」に選ばれました。
 遠藤市長は「外から来るお客さんから『こんなに良い町はない』と言われたことが地域の良さを見直すきっかけになりました。久慈の人は困っている人に手を差し伸べる、優しく素敵な人ばかりです」と述べてくださいました。


移住経験・支援者の自己紹介
藤織 ジュン 氏(移住コーディネーター)

「可愛すぎない海女」の藤織さんは、東京から2015年に移住してきました。久慈市が募集していた「三ヶ月間、海女をしながら観光をPRする仕事」に「面白そう、知らない土地に一人で住むと自分の気づきや力になるのではないか、という気持ちで来ました。移住することは考えていなかったです」とのことでした。でも、久慈市の観光の魅力を見ていくうちに、「久慈市には良いものが沢山ある、これをアピールしないともったいない」という思いが強くなっていったそうです。
 藤織さんは、地域おこし協力隊で活動後、独立して観光のPRや商品開発をしています。また2022年の8月から移住コーディネーターとしても活動されています。
 久慈市には、「自分も何かできるのではないか」と思わせる関わりしろと魅力がある、とコメントしてくださいました。


嵯峨 恒宏 氏(NANAMARUNI COFFEE)

嵯峨さんは、久慈市出身です。高校を卒業してから仙台市に移住して、10年間アパレル業界で活躍されたのち、Uターンで久慈市に戻ってきました。
 嵯峨さんは当時、仙台市で久慈市出身の友人3人とルームシェアをしていました。東日本大震災をきっかけに、地元のことをよく考えるようになり、久慈市でカフェを開く夢ができたそうです。その時住んでいた部屋の番号が702号室でした。それが“NANAMARUNI COFFEE“ の由来です。
 アパレル業界で働くうちに、自分は服よりも接客の方が好きだということに気づき、カフェに業種を変えようと考えた、とのことでした。
 嵯峨さんは、「カフェではコーヒー1杯の値段で気兼ねなくお客さんと話せる関係がつくれます。色々な背景の人と会話ができる素晴らしい空間だと思っています」とコメントしてくださいました


小野沢 りん 氏(地域おこし協力隊 久慈市役所産業建設課)

小野沢さんは、今年の8月に久慈市に移住されました。久慈市山形で短角牛(日本短角種)の生産のお手伝いを行っています。
 長野県出身の小野沢さんは、農業高校3年生の時に牛に興味を持ち始め、「せっかくなら地域の問題である耕作放棄地で牛を飼育したい」と思ったそうです。それで、短角牛の生産が盛んな岩手県の農業大学校へ進学されました。研修をきっかけに久慈市と関わるようになったそうです。「久慈市は利便性も良く住みやすい町だと感じています」とコメントしてくださいました。


西村 一章 氏(地域おこし協力隊 久慈市役所林業水産課)

久慈市出身の西村さんはUターンして3年たちました。会社員として14年間、色々な所を転々としていたそうです。久々に戻った久慈市は、道路整備やコンビニエンスストアが沢山あり、「丁度良い、住みやすい田舎」という印象を持ったそうです。
 現在、西村さんは漁師を目指して奮闘中です。「地域おこし協力隊」として、久慈市で漁師になりたい人向けのガイドブックの作成や、海の幸を新しく商品化するお仕事をされています。


遠藤市長×指出氏×移住経験・支援者との対談

指出さんは、「衣食住で久慈市にはお世話になっています。自分は久慈市の関係人口です。久慈市は海と森林どちらもブランド力に長けていて、自然資本が豊か。また、若い世代が市の産業や自然文化を自分の視点で見つけて発信していると感じます。『自然資本の豊かさ』と、『自分の好きなこと』の掛け算が素晴らしいです。久慈市はパワフルな町だといつも思います」とコメントしてくださいました。
 藤織さんは「久慈市は、色々なコンテンツと、挑戦する人が沢山いるパワフルな町で私も元気をもらっています。魅力的なお店や歴史文化がまだまだあるので、発信する人が来てほしいです。」と話してくださいました。
 遠藤市長は、「久慈市で何かやりたいという人がいれば、町を挙げて全面的にサポートしたい、地元と外から来た人が一緒に活動すると町全体のパワーになると思っています。外から来る人は大歓迎です。町がどのように変わっていくのか、期待しています」とコメントしてくださいました。


ブレイクアウトセッション

移住経験・支援者と一般参加者の皆さんが一緒にいくつかのブレイクアウト・ルームに分かれ、移住・くらし・環境についての活発な意見交換が行われました。「若くてアイデアのある人が気力を持って話しているので楽しかった」「皆さん笑顔で取り組みを話していて素敵でした。直接お話を聞いてみたい」「関係人口として久慈市に関わる人が多いと感じました。自分も訪れたい」などのコメントも寄せられ、盛況のうちにセッション終了となりました。


参考リンク


会議概要

  •  日時:2022年12月8日(木)19:00-21:00
  •  形式:Zoomミーティングによるオンライン会議
  •  参加者数:16名
  •  主催:復興庁
  •  企画運営:エイチタス株式会社