Fw:東北Fan Meeting 2022 東北デジタル創生塾Vol.6東北で支える中小企業のデジタル化支援の道~地場企業へのクラウド活用の事例から考える

Fw:東北Fan Meeting 2022 東北デジタル創生塾Vol.6東北で支える中小企業のデジタル化支援の道~地場企業へのクラウド活用の事例から考える イベントレポート


デジタル化の加速に伴い事業環境が激変する中、東北の地場の企業においても、ITをめぐるテクノロジーの活用は不可欠になっています。では、その道筋や手段をどうすればよいのか。地場の企業のみならず、地域で産業振興を支援する行政にとっても、キャッチアップが難しいテーマでもあります。
 青森県三沢市と仙台市に拠点を置く東北のIT企業、株式会社へプタゴンの立花拓也さんは、そうした悩みを抱える東北の地場の企業に向けて、クラウドサービスの導入支援を通じて、デジタル化を地道に支え続けています。製造業からサービス業、さらには農業などの一次産業も含め、東北で幅広く支援を続けてきた立花さんの事例から、クラウドの活用によって生まれた東北の企業の変化と、支援のポイントを伺いました。
 ゲストには、立花さんの支援を受けて業務改革を進めた経験を持つ地場の企業のほか、総務庁 地域情報化アドバイザーとしてYuMake合同会社の佐藤拓也さんもお迎えし、東北のデジタル化促進による産業支援の道を探りました。


インプットトーク
立花 拓也 氏(株式会社へプタゴン 代表取締役)

立花さんが代表取締役を務める「株式会社ヘプタゴン」は「顔を知らない100万人の幸せよりも自分たちの身近な100人をテクノロジーで幸せに」という企業理念のもと、主にクラウドの導入支援を行っています。
 活動事例として、AI画像分析を用いて人物ごとに写真を振り分けるシステム、設備の基盤やセンサーを外部から確認・制御できるIoTシステムの構築、センサーデータを基に故障を予知するAIモデル、米粒の画像から資格を有した検査員と同等以上に米の銘柄を判定できるスマートフォンアプリなどが紹介されました。
 様々な事例から、予算の問題でIT化の恩恵を受けられなかった小規模事業者でもクラウドを正しく使うことで業務効率化、高付加価値化が可能になる事が示されました。
 立花さんは、「地方の課題を新しいテクノロジーで解決することでビジネスの地産地消になると思いますし、地方の課題解決を今行うことで東京を経由せずにグローバル化できるチャンスだと感じています。今こそ中小&地方発のデジタルトランスフォーメーションを行うべき時だと思います」とコメントしてくださいました。


佐藤 拓也 氏(地域情報化アドバイザー/YuMake合同会社 代表社員 CEO)

佐藤さんが代表社員CEOを務める「YuMake合同会社」では「YuMake気象情報API」などを用いた気象情報提供・予報士サポート事業、防災・減災ソリューション事業、システムソリューション事業を行っています。
 佐藤さんは、「気象データ活用と他社とのコラボレーションを通じて新しい価値の創造に取り組んでいます。各業界に関わってきたプロ・現場と一緒に協働して付加価値をつけ、現場のニーズに合わせたソリューションを提供していくことを大切にしています」と語ってくださいました。
 事例紹介として、天気に応じた情報提供をするロボットコンシェルジュ、商業施設のホームページでの活用、気象状況によって事故が起きやすい地点の可視化、ハウス圃場における柿成熟度の可視化、IoT気象センサーと人流カメラを搭載したデジタルサイネージ、体感温度予報APIなどが紹介されました。
 また、気象データ活用を広めるために、オープンな気象講座「ハルカス気象大学」を開き、地域課題解決の取り組みも行われています。


登壇者・参加者のみなさんとのオンラインセッション

次に、ファシリテーターの原亮(エイチタス株式会社)を交え、登壇者・参加者とのトークセッションが行われました。
 立花さんは、地方の特徴として、「課題は認識しているが今の技術で解決できることを知らない事が多い、以前はシステムをゼロから作る必要があったが、今は優れたシステムが世の中に溢れているので、どのように組み合わせて使うかが大事です。考え方のアップデートも必要だと思います」と指摘されました。
 佐藤さんは、「気象データも細かい情報になると読み取るのに技術がいるので、私たちがAPIで提供することで、使用する側のコストも下がり使いやすくなっていると感じています」と話してくださいました。
 セッションの総括として、立花さんは「やれることは沢山あります。私たちもまだまだ小さな会社なので色々な方々と協力していきたいと思っています。私たちと同じ思いを持つ方が仲間になってくれると嬉しいです」とのコメントを頂きました。
 佐藤さんは「地域同士のコラボレーションの可能性もまだまだあると感じました。ITの分野なら地方でも仕事ができることを地元の若い人にも見せていきたいです」と述べてくださいました。
 参加者からは、「非常に勉強になりました」「楽しかった」「新しい仕組みについて自分も考えていきたいと思いました」などの感想もあり、盛況のうちにセッション終了となりました。


参考リンク


会議概要

  •  日時:2022年12月23日(金)19:30-21:30
  •  形式:Zoomミーティングによるオンライン会議
  •  参加者数:16名
  •  主催:復興庁
  •  企画運営:エイチタス株式会社