Fw:東北Fan Meeting 2022東北暮らし発見塾(利府校)〜移住者と共に地域のチャレンジを加速させるイベントレポート
東北への移住をテーマとした「東北暮らし発見塾」、今回は「利府校」として、宮城県利府町を取り上げ、町長や移住者の話が聞けるオンラインイベントを開催しました。
宮城県のほぼ中央に位置する利府町は、日本三景・松島の一角をなすほか、仙台市のベッドタウンとして子育て世帯など若い世代に人気がある町です。また、スポーツイベントやライブイベントの開催地として、全国から多く来訪者を受け入れています。
本イベントは、熊谷大町長が、地域の魅力について参加者のみなさんへ直接語りかけるほか、利府町で新しいチャレンジに挑む移住者と参加者のみなさんで、利府町で起こしたい活動のアイデアを語り合いながら、利府町の魅力や可能性を拡げていきました。
ゲストには、移住者として、地域の特産である梨農家を営んでいる地域おこし協力隊の近江貴之さん、利府をおもしろくすることをミッションとするまちおこし支援協力会「りふくる」代表の佐藤大輔さん、「利府町まち・ひと・しごと創造ステーションtsumiki(ツミキ)」のスタッフで、アクセサリー作家としても活躍する大宮紗妃さんをお迎えし、移住先での活動について掘り下げました。
さらに、LIFULL
HOME'S総研所長の島原万丈さんも迎え、「社会や環境がよくなって、そしておもしろい」をテーマとした未来をつくる SDGsマガジン「ソトコト」との連動企画としても、利府町で活動を起こす面白さを掘り下げました。
インプットトーク
熊谷町長プレゼン
熊谷 大 氏(利府町長)

熊谷町長から地域の魅力・取り組みをお話いただきました。
熊谷町長は「利府町は、日本三景の一角をなす表(おもて)松島と特産品の利府梨(なし)とあわせて『おもてなしのまち』で、『共にチャレンジするまち』です」と語ります。利府町の大きなチャレンジとして将来的な市制移行を目指しています。熊谷町長は利府町について、「田舎と都会が丁度よく共存していて、自分のスタイルを貫けるバランスの良いまち」だとコメントしてくださいました。
熊谷町長は、復興創生について、復興創生とは文化創造だと示唆されました。「東日本大震災で傷つけられた人間性や心を取り戻すには文化力が大切だと感じている。それで利府町は文化とスポーツに力を入れています」とのことでした。
利府町では様々なスポーツイベントが行われています。昨年度は県内35年ぶりの公道レース「利府ラリー2021」、今年度は「TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge in 利府」やスポーツ流鏑馬のデモンストレーションが行われ、また、「2002年FIFAワールドカップ」や「2020東京オリンピックサッカー競技大会」の開催地にもなりました。
最後に熊谷町長自身のチャレンジも紹介されました。熊谷町長のニホンミツバチへの思いから庭先養蜂で作られたはちみつは絶品だそうです。利府町は自然豊かで、植物も多様性があることが示されました。
移住者プレゼン
大宮 紗妃 氏(アクセサリー作家兼tsumikiスタッフ)

大宮さんがスタッフとして働く「tsumiki」は、カフェとしても利用できるコワーキングスペースです。ワークや打ち合わせ以外に、起業支援や市民活動のサポート、各種相談も受け付けています。
大宮さんはアクセサリー作家としても活動されています。子育てがひと段落し、もっと楽しく生きるためにアクセサリー製作を開始した、とのことでした。「tsumiki」でスモールビジネスの支援企画や起業塾など様々なサポートを受けたそうです。
大宮さんが利府町に住もうと思った理由について、子育てに優しく自然があって、街並みを歩くと心が豊かになる感じがした、とのことでした。また、「tsumiki」のスタッフになったことで様々な人たちの最高の出会いも大きかった、と話してくださいました。
佐藤 大輔 氏(利府をおもしろくする「りふくる」代表)

「りふくる」ではアイドルのライブで利府町に来るファンへのおもてなし活動や、子どもたちが「実践する、応援する、実況する」eスポーツ、異業種交流会の開催などを行っています。ミーティングはほとんど「tsumiki」で行われ、幅広く企画を展開している、とのことでした。
モルックプロジェクトも紹介されました。モルックは老若男女が楽しめるフィンランド発のアウトドアスポーツで、日本の芸能界でもブームの兆しがあるそうです。佐藤さんは、将来の展望として、「モルックを利府町のスポーツとして定着してほしいです。また、モルックの大会を利府町で主催したいです」と語ってくださいました。
近江 貴之 氏(利府町おもて梨園代表/梨農家兼梨王子)

近江さんは、仙台出身で東京の大手通信会社で販売企画等に従事されました。通信で実体のないものを販売していたので、自分で目に見えるモノを作ってお客さんに喜んでもらう仕事をしたい、という気持ちが強くなっていったそうです。
利府町に移住するきっかけは、地方創世のイベントで利府町がブースに出ていたこと、とのことでした。サッカー好きな近江さんは、様々なサッカーイベントを行っている利府町と親和性があったこと、ものづくりなど多岐にわたる活動ができることが魅力だと感じたそうです。それで2019年に地域おこし協力隊として利府に移住して、農家に転身されました。現在は、規格外の梨を使った「金の利府梨カレー」を開発し、販売しています。
インプットトーク
熊谷町長×島原さんセッション

次に、熊谷町長と島原万丈氏(LIFULL HOME'S総研 所長)とのトークセッションが行われました。
島原さんは、遊びからの地方創生について「雇用も大切だが『遊び』がないと地方の暮らしが魅力にならない。スポーツや文化、エンターテインメントは心の健康や豊かさに極めて重要で、利府町はモータースポーツやサッカーなどを身近に感じられる所が素晴らしい」と指摘くださいました。
また「大宮さんに象徴されるように、利府町では女性の生き方の選択肢が沢山あり、オープンで寛容さがあるところに感銘をうけました」とコメントしてくださいました。
熊谷町長は「東北ではまだまだ仕事が足りないが、仕事のみで人は生きていけない。働き口と遊びが両立して産業が成り立つ、と感じている。東北では製造業に力を入れて働く場所を作っている。利府町では、そこで作られたモノで遊ぶ場所を提供しようという考えのもと、モータースポーツを積極的に導入している」と話してくださいました。
島原さんからは「英語で遊びは“Play”で、ハンドルの「遊び」という言葉も“play of the
handle”と言います。『遊び』は、まちの生きやすさやチャレンジを生み出すものであり『遊び』がない人生は窮屈になる。昨今コロナで、『遊び』は不要不急なものだと言われ続けてきたが、今こそ『遊び』は大事なことです。」とのコメントがありました。
ミニアイデアソン
続いてミニアイデアソンが行われました。前半では
・近江さんの、利府梨の生産を増やしたい。
・大宮さんの、「tsumiki」で面白い交流を生み出せる人を増やしたい
・佐藤さんの、全国から集まった人たちをおもてなしできるモルック大会を開きたい
というテーマでコメントのアイデア出しが行われました。
後半にはブレイクアウトワークとコミットの書き込みワークが実施され、活発な意見交換が行われました。
参加者から「良いアイデアが沢山出て財産の日だった」「遊び心や楽しさという観点の大切さを感じた」「寛容な土地柄だと思った」などの感想も聞かれ、盛況のうちにセッション終了となりました。
参考リンク
会議概要
- 日時:2022年11月29日(火)19:00-21:00
- 形式:Zoomミーティングによるオンライン会議
- 参加者数:21名
- 主催:復興庁
- 企画運営:エイチタス株式会社