Fw:東北Fan Meeting 2022東北暮らし発見塾(宮古校)~交流からチャレンジを生む仲間になるイベントレポート
東北への移住をテーマとした「東北暮らし発見塾」、今回は「宮古校」として、岩手県宮古市を取り上げ、市長や移住者の話が聞けるオンラインイベントを開催しました。
岩手県宮古市は、本州最東端に位置し、太平洋から昇る太陽を迎え、緑深き森から流れる川が大海にそそぐまちです。自然とひとの調和と共生を目指す一方で、ひととひとの交わりにおいても、若い世代が地域内外でユニークな関わりを生み、チャレンジを重ねています。本イベントは、山本正德市長が、地域の魅力について参加者のみなさんへ直接語りかけるほか、移住者たちの実体験に基づく生の声などを聞きだしながら、参加者のみなさん同士とも語り合える場となりました。
ゲストには、地域おこし協力隊として宮古市に入り、Fw:東北でも登壇があった花坂印刷工業株式会社でも活動を行っている八島悟さん、宮古の新名物、タラフライを生んだ共和水産株式会社品質管理部で、イカ王子秘書室として活動する瀬戸里奈さん、NPO法人みやっこベースの広報を務める八島彩香さん、そして、コーディネーター役のみやっこベース理事長の早川輝さんらを迎え、宮古市での暮らしやチャレンジについて、お話を伺いました。
また、「社会や環境がよくなって、そしておもしろい」をテーマとした未来をつくるSDGsマガジン「ソトコト」との連動企画として、同誌の指出編集長を迎え、宮古市への移住をリアルに掘り下げました。
インプットトーク
①山本市長による地域の魅力・取り組み紹介
山本 正德 氏(宮古市長)

山本市長から地域の魅力・取り組みをお話いただきました。
宮古市は本州最東端に位置し、森と川と海の絶景スポットがたくさんあります。港町なので昔から様々な交流が行われてきたそうです。海産物や山の幸も豊富で一年を通して美味しいものが盛りだくさん、とのことでした。一例として「瓶ドン」が紹介されました。「瓶ドン」は牛乳瓶にウニやいくらなど、様々な宮古の恵みを詰めて、ご飯の上にかける体験型グルメです。
また、山本市長が掲げているまちづくりの一つは、「安定した仕事をもって子どもを幸せに育てられるまち」だそうです。それで宮古市は、幼児教育・保育の無償化の対象範囲を拡大するなど、子育て世代のサポートを手厚く行っています。
山本市長は、「宮古市は”自分らしさを表現できるまち”です。一度、宮古市に来ていただいてそのことを体験してもらいたい」と語ってくださいました。
②山本市長×指出氏との対談

続いて、山本市長と指出一正さん(ソトコト編集長)、早川輝さん(宮古市現地コーディネーター/NPO法人みやっこベース理事長)、ファシリテーターの原亮(エイチタス)を交えてトークセッションが行われました。
指出さんによると、宮古市を流れる閉伊川(へいがわ)は、脂びれのある魚、サクラマスやイワナに最高の暮らしをもたらす川だそうです。
指出さんは流域関係人口(流域を通して地域に関わる人たちを広く指す)についても説明してくださいました。宮古市は人が安心できる要素を見せてくれる流域が保たれていると感じているとのことでした。
山本市長は、「閉伊川は、宮古市の西から東まで流れているので、住民である私たちの気持ちを一つにまとめる川、という気がします」とコメントしてくださいました。
宮古市現地コーディネーターの早川さんは災害ボランティアで宮古市に来られました。移住して11年たったそうです。早川さんは、「宮古市には縁もゆかりもなく、県外ボランティアの受け入れが早かったから選びました。宮古市に来たのはたまたまでしたが、宮古市に残ることにしたのは理由があります。当時一緒に活動した地元のボランティアの人たちの温かさです」とコメントしてくださいました。
早川さんは、復興過程において地元の子どもたちが加わる活動や、子どもたちの居場所をつくることの必要性を認識したそうです。活動の中で、子どもたちが復興に対して熱い思いを持っていることをより強く感じて、継続的にサポートしなければいけない、と現在も宮古市の若者支援の活動をされています。
山本市長は早川さんの活動について、子どもたちが「何かをやりたい」と思っても「この指とまれ」の指、核がないとなかなか皆が集まれない。早川さんは、核となる居場所をつくってくれたので、子どもたちが集まり、やりたいことが見つかっていく様子を目にすることができている、とコメントしてくださいました。
対談を通して宮古市は、「流域関係人口」「震災後の地域外の人たちとの交流」「違う世代同士のつながり」など様々な「関わりしろ」があり、開かれたまちになっていることが示されました。
移住経験・支援者の自己紹介
八島 悟 氏(宮古市地域おこし協力隊・花坂印刷工業株式会社)

宮城県丸森町出身の八島悟さんは、約5年前、宮古市の人々との交流をきっかけに、宮古市の魅力に惹かれていったそうです。今年4月にパートナーの彩香さんと宮古市に移住し、「宮古市地域おこし協力隊」に着任されました。現在は、移住やU・Iターンを希望している人たちを支援する活動を行っています。また、花坂印刷工業株式会社では動画や写真の仕事を勉強中とのことでした。
八島 彩香 氏(NPO法人みやっこベース 広報)

宮古市出身の八島彩香さんは、高校2年生のときに、「NPO法人みやっこベース」との出会いがありました。高校生サミットなどの経験を通して、「宮古市の未来や復興に関わることが自分のやりたいことだ」と感じたそうです。
その後、八島さんは地方創生やまちづくりについて学ぶため、宮城県の大学に進学し、就職後は、まちに関係する仕事をしながら「NPO法人みやっこベース」で広報活動を行うようになります。そして今年の4月にパートナーの悟さんと宮古市にUターン移住されました。
瀬戸 里奈 氏(共和水産株式会社 品質管理部(イカ王子秘書室)

宮城県塩竈出身の瀬戸里奈さんの宮古市との関わりは、大学のインターンシップ参加がきっかけでした。宮古市に一か月滞在し、その後長期休みの度に宮古市に遊びに行っていたそうです。卒業研究を行うために宮古市に移住し、卒業と同時にインターン先だった「共和水産」に就職されました。
現在は、商品のクオリティをコントロールする仕事をしながら「イカ王子」の愛称で知られる「共和水産」代表取締役の秘書としても活動されています。
参加者同士のブレイクアウトセッション
この後、移住経験・支援者と一般参加者の皆さんが一緒にいくつかのブレイクアウト・ルームに分かれ、それぞれのルームで、移住の決め手になったことやくらし・環境についての活発な意見交換が行われました。
「将来的な移住先として具体的に考えたい」「宮古市に行ってみたい」「市長とお話しするのは初めての経験なので良かった」などの感想も聞かれ、盛況のうちにセッション終了となりました。
参考リンク
- • 岩手県宮古市
- • NPO法人みやっこベース
- • 花坂印刷工業株式会社
- • 共和水産株式会社
会議概要
- 日時:2022年11月21日(月)19:00-21:00
- 形式:Zoomミーティングによるオンライン会議
- 参加者数:22名
- 主催:復興庁
- 企画運営:エイチタス株式会社