Fw:東北 Fan Meeting 東北暮らし発見塾(釜石校)~全方位で人がつながるオープンシティイベントレポート
東北への移住をテーマとした「東北暮らし発見塾」、今回は「釜石校」として、岩手県釜石市を取り上げ、市長や移住者の話が聞けるオンラインイベントを開催しました。
岩手県の沿岸部、三陸復興国立公園のほぼ中央に位置する釜石市は、近代製鉄業発祥の地として栄え、「北の鉄人」と呼ばれた新日鐵釜石ラグビー部の全国大会7連覇をはじめ、ラグビーの町としても歴史を重ねてきました。近年でも、ラグビーを通じて全国および海外からの来訪者とも積極的に交流を進め、開かれた町として域外の人々にも親しまれています。また、ローカルベンチャーとしての起業や、Fw:東北でも取りあげてきた観光の取組など、新たな活動が起こり続けています。
そんな釜石では、具体的にどのような移住者が活躍の場を拡げているのでしょうか。今回のゲストには、地元ラグビーチーム「釜石シーウェイブス」の元キャプテンで、現在は市職員としてスポーツ推進課に勤務する佐伯
悠さん、地元出身で大手百貨店のキャリアを経て、家業を継ぐためUターンをした有限会社ヤマキイチ商店専務取締役の君ヶ洞剛一さん、震災後の活動から、釜石に株式会社パソナ東北創生を設立し、自ら代表取締役社長に就任した戸塚絵梨子さん、そして、「岩手移住計画」を立ち上げ、釜石市移住コーディネーターとして活動を展開している手塚さや香さんをお迎えしました。
また、「社会や環境がよくなって、そしておもしろい」をテーマとした未来をつくるSDGsマガジン「ソトコト」との連動企画として、同誌の指出編集長を迎え、釜石市への移住をリアルに掘り下げました。
インプットトーク
①野田市長による地域の魅力・取り組み紹介
野田 武則 氏(釜石市長)

野田市長から地域の魅力・取り組みをお話いただきました。
釜石市は「鉄と魚とラグビーのまち」です。近代製鉄発祥の地で「橋野鉄鉱山」は世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」のひとつに選ばれました。また、魚の町釜石の復活を目指して「釜石はまゆりサクラマス」の養殖に取り組まれています。ラグビーでは「新日鉄釜石V7」が有名です。2019年にはラグビーワールドカップ開催都市のひとつになりました。
「釜石市オープンシティ戦略」についての説明もしてくださいました。市民一人ひとりが役割を持つ、真に開かれたまちの実現を目指しているそうです。つながり人口をまちづくりに活かす視点と施策事例、行政と民間の連携例が紹介されました。
野田市長は「様々な活動の中で新たな展開が見出されています。沢山の人に来ていただいて一緒に釜石のまちづくりに取り組んで、釜石で人生の幸せをつかんでいただければありがたい」とコメントしてくださいました。
②野田市長×指出氏との対談

野田市長、モデレーターの原亮(エイチタス株式会社)、指出一正氏(ソトコト編集長)、手塚さや香氏(釜石市移住コーディネーター)を交えた対談が行われました。
指出さんは、「釜石市オープンシティ戦略」について、オープンキャンパスのように、誰もが気軽に行きやすく、地元の人と協力しやすい空気をずっとつくられてきた、と感じたとのことでした。
野田市長は、釜石市は元々ヨソモノを受け入れる素地があって、特に震災後は沢山の方々が釜石にやってきて様々な活力を生み出してきたそうです。
手塚さんは、復興支援員として森林組合のサポートを務められました。大きな山火事や台風などの自然災害の時、全国から沢山のボランティアが来られたそうです。釜石が色々な人とつながる仕組みがあり開かれた町だと感じた、とのことでした。
指出さんは最後に「復興は絶対に大切なことですが、同時に釜石が培ってきた自然環境や文化はふくよかなものが沢山あるので、そのことを若い世代に知ってもらえるなら釜石のつながり人口の層はさらに厚くなると感じました。みんなで釜石を楽しむことを共有できれば良いと思います」とコメントしてくださいました。
移住経験・支援者の自己紹介
手塚 さや香 氏(釜石市移住コーディネーター)

さいたま市出身の手塚さんは、新聞記者として勤務した後、2014年から釜石に移住し、リージョナルコーディネーター(復興支援員/釜援隊)として活躍されました。現在は釜石市移住コーディネーター、フリーランスのライター等、様々な活動をされています。
佐伯 悠 氏(元釜石シーウェイブスキャプテン、釜石市スポーツ推進課職員)

神奈川県出身の佐伯さんは、2007年に釜石市に移住されました。2011年から2013年までラグビーフットボールクラブ「釜石シーウェイブス」で主将を務め、現在は釜石市市役所スポーツ推進課に勤務し、ラグビーに関する仕事を行っています
戸塚 絵梨子 氏(株式会社パソナ東北創生 代表取締役社長)

東京出身の戸塚さんは、2009年に株式会社パソナに入社。東日本大震災後のボランティア、復興支援活動をきっかけに釜石と出会い、2015年に「パソナ東北創生」を釜石市に設立されました。釜石と東京の2拠点生活でしたが、今年釜石市に住民票を移して10年かけて移住者になったそうです。
君ヶ洞 剛一 氏(有限会社ヤマキイチ商店 専務取締役)

釜石市出身の君ヶ洞さんは、2007年に釜石にUターンされました。ヤマキイチ商店では、「泳ぐホタテ」ブランドを展開するほか、精力的に事業を展開しています。
君ヶ洞さんは「自分は三陸の価値向上を人生の目的としている、自社の商品を広めながら楽しく仕事をしています」と述べてくださいました。
参加者同士のブレイクアウトセッション
この後、移住経験・支援者と一般参加者の皆さんが一緒にいくつかのブレイクアウト・ルームに分かれ、それぞれのルームで、移住の決め手になったことやくらし・環境についての活発な意見交換が行われました。「釜石がどれだけラグビーと共にある町か実際見に行きたい」「うれしい出会いと再会があった」「釜石がますます好きになった」等のコメントがあり、盛況のうちにセッション終了となりました。
参考リンク
- • 岩手県釜石市
- • 株式会社パソナ東北創生
- • 有限会社ヤマキイチ商店
会議概要
- 日時:2022年10月4日(月)19:00-21:00
- 形式:Zoomミーティングによるオンライン会議
- 参加者数:24名
- 主催:復興庁
- 企画運営:エイチタス株式会社