Fw:東北 Fan Meeting 東北暮らし発見塾(気仙沼校)~“人を中心としたまち” 気仙沼に暮らすイベントレポート
東北への移住をテーマとした「東北暮らし発見塾」、今回は「気仙沼校」として、宮城県の最北端に位置し、水産業が盛んな港町である気仙沼市を取り上げ、市長や移住者の話が聞けるオンラインイベントを開催しました。
本イベントでは、菅原茂市長が地域の魅力について参加者のみなさんへ直接語りかけるほか、移住者たちの実体験に基づく生の声などを聞きだしながら、参加者のみなさん同士とも語り合える場となりました。人を中心としたまちづくりを掲げ、若い人たちが挑戦と成長を続けていく気仙沼市の魅力について、気仙沼市移住・定住支援センター MINATO センター長で、ご自身も福井から移住を果たした加藤航也さんら、若い移住者たちから生の声を引き出せる機会となりました。
また、「社会や環境がよくなって、そしておもしろい」をテーマとした未来をつくるSDGsマガジン「ソトコト」との連動企画として、同誌の指出編集長を迎え、気仙沼市への移住をリアルに掘り下げました。
インプットトーク
① 気仙沼市長による地域の魅力・取り組み紹介
菅原 茂 氏(気仙沼市長)

気仙沼市菅原市長から地域の魅力・取り組みをお話しいただきました。
「人から始まる地方創生」というテーマで市民が主役のまちづくりを目指しているそうです。人材育成を基礎として市民と行政、営利と非営利が一緒になり同じ方向性をもってまちの課題に挑戦する「まち(まるごと)大学構想」が紹介されました。
また、移住・定住促進の取り組みとして移住・定住の相談窓口「MINATO」の設置、空き家バンク、お試し移住、災害公営住居転用、ワーケーション推進を行っているそうです。気仙沼市の「地域おこし協力隊」は、第一次産業だけではなく、まちづくりなど色々な形で活動できることが特徴とのことでした。
気仙沼市は、世界を相手に仕事を行い、地域の豊かさを維持する将来像を描いているそうです。菅原市長は、「東日本大震災から10年たち、人と人との縁、つながりが大切だということがよくわかった。これからも関係人口・移住定住を促進し“世界とつながる豊かなローカル”を目指したい」、と述べてくださいました。
② 市長と指出氏との対談
指出 一正 氏(ソトコト編集長)

指出さんは、2015年にペンターン女子(※)の取材で唐桑に行かれ交友が始まりました。ペンターン女子たちが、地域と関わることに自分の喜びや幸せを感じる様子を見て「関わりに重きを置く世代が現れた」と感じたそうです。また、そこから関係人口がより実体化し始めた、とのことでした。関係人口という言葉が広がったのは気仙沼市から始まったと思っているそうです。
指出さんは、気仙沼市は町全体が学びの場所になっていて、住民が生きる誇りを持てるように町が守っている、寛容性のある町だから若い人たちや外から人が来るのかな、と感じているとのことでした。
菅原市長は、気仙沼市が外から来た人と上手くなじめるようになった理由として、日本中の漁船を受け入れている港があり、人を受け入れるベースがあったこと、また東日本大震災で外部から助けに来てくれた人たちが、本当に良い人たちばかりで積極的な交友をもてたという体験が、人を自然に受け入れるようになったのではないか、とコメントしてくださいました。
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※ペンターンは“peninsula turn”の略で、半島移住を意味する造語。
移住経験・支援者の経験談
加藤 航也氏(気仙沼市移住・定住支援センター MINATO センター長)

福井県出身の加藤さんは、大学生の時に東日本大震災のボランティアで気仙沼市に行かれました。そこでの体験を通して、気仙沼市は「また来たくなる、人を引き付ける魅力がすごくある」と感じたそうです。とくに地元の人が「誰かがではなく自分たちが町をなんとかするんだ」という考えに刺激を受けとのことでした。その後も気仙沼とのつながりを強めて、2015年に気仙沼市に移住されました。
気仙沼市移住・定住支援センターの窓口は、市が運営するシェアスペースが併設されていて、テレワークで働いている人がいたり、親子が休憩スペースとして使っていたりして、移住の相談に来た方が見た時にも、町に多様な人が住んでいることがすぐにわかる、そんな素敵な場所に窓口をつくっていただいてありがたいな、と思っている、とのことでした。
尾形 真弓 氏(保育士/ペンターン女子/からくわ丸)

尾形さんは、大学生の時に東日本大震災のボランティアで気仙沼市唐桑半島へ行かれました。地元の若者と外部からボランティアで来た若い人たちが協力してまちづくり活動をする「からくわ丸」という団体に出会い、若い人たちが地域を盛り上げる活動をしていることに衝撃を受け、毎月のように唐桑に通うようになり楽しい日々を過ごしたそうです。
尾形さんは、大学卒業を機に2013年、唐桑へ移住し地域支援員、学校支援員として働かれました。唐桑での活動から自分の地元のことも見つめ直そうと2016年に岡山県にUターンされ、そこで結婚と出産を経験します。そして2021年に家族と共に唐桑へ再移住されました。現在は保育士として働かれています。
尾形さんは、再移住にあたり、自分が人と集まるのが好きだということを改めて感じたそうです。唐桑は地域の人とも関われるし、行政の子育てミーティングなど市町村とも話ができる場があり、町に住んでいることが自分事として捉えられる、魅力がある町とのことでした。
皆川 太郎 氏(一般社団法人ペンシー デザイン教育担当)

山形県出身の皆川さんは、まちづくり学科に所属していた大学生2年生の時にインターンで初めて気仙沼に行かれました。刺激的な毎日でユニークな人たちと沢山出会い、生き方や働き方の視野が広がった一か月だったそうです。再度、気仙沼を訪れた時に地元の人が「おかえり」と迎え入れてくれ、その温かさや思いやりに心を打たれた、とのことでした。
皆川さんは、その後就職されますが、気仙沼での経験が忘れられず「地域おこし協力隊」に応募して2021年に気仙沼に移住、現在デザイン教育の活動をされています。
気仙沼市は、若者の「やってみたい」の背中を押してくれる、一つアクションを起こすと地域の方が「一緒にやろうよ」「うちでもやってよ」と連鎖的に活動を生じていく活動的な町だと感じている、とのことでした。
参考リンク
会議概要
- 日時:2022年7月19日(火)19:30-21:30
- 形式:Zoomミーティングによるオンライン会議
- 参加者数:24名
- 主催:復興庁
- 企画運営:エイチタス株式会社